こんにちは。中小企業診断士のマスミです。
今日はマーケティングの第3弾、STP分析の方法についてお伝えします!
待ってました!
だんだんマーケティングが楽しくなってきました!
ワクワクおじさんです!
マーケティングについて、第1弾は全体像、第2弾は3C分析とバリュープロポジションについて解説しています。
続きの記事なのでぜひこちらから読んでみてくださいね!
まず最初に今回お話するSTP分析がマーケティング戦略においてどんな位置づけになるのかを確認しておきましょう。
こちらが全体像です。
簡単におさらいしておきましょう。
マーケティングとは、自動的に売れるような仕組み、しかけを作っていくことでした。そのためには徹底的にお客様の視点で考える必要があります。これが『マーケティング志向』です。
売れる仕組みを作るためには上記のような流れでマーケティング戦略を考えていくと情報が整理されてスムーズです。
最初に3C分析を行い、「顧客が必要とする自社にしか提供できない価値」がある程度見えてきたら、次がSTP分析です。
今日はSTP分析のやり方を分かりやすくお伝えしていきます!
- STP分析の目的、意義
- STP分析の方法
- 自社の立ち位置を決める方法
STP分析とは?
STP分析とは、セグメンテーション、ターゲッティング、ポジショニングの頭文字をとってSTP分析と呼んでいます。
何をするか簡単に言うと、お客さんを分けて、どんな人をターゲットにするかを決めて、競合と比較して自社の立ち位置をはっきりさせていきましょう、ということです。
例えばリフォーム業だった場合はこんなかんじです。
これをすることで、どんな商品やサービスを開発するか、価格設定をどうするか、どうやって買ってもらおうか、どんな販促活動をしようか、などを考える時のベースになるんですね。
ターゲットと自社のウリがはっきりしていないと、ぼやっとして誰にも響かない商品になってしまったり、効果のない宣伝をしてしまったりするので、とても重要なポイントです。
なるほどなるほど。
ターゲットと自社のウリを明確に、ですね。
セグメンテーションのやり方
では早速セグメンテーションから始めましょう。
セグメンテーションは、顧客を分類することです。分類した層をセグメントと言います。
ここでは、どの層がターゲットになるかを考える必要はありません。むしろそれを考えていると漏れがでてきたりしますので、考えないように機械的に作業をします。
分類する基準としては以下の点を元に基本情報と固有情報で分けて考えてみます。
基本情報は商品やサービスに関わらず共通のことで、固有情報とは、自社の商品やサービスに関連するテーマのことです。
- 人口統計の要素(年齢、性別、学歴や職業、既婚未婚、家族構成など)
- 経済的要素(収入や貯蓄など)
- 地理的要素(住んでいる場所、自社からの距離など)
- 心理的要素(生活スタイル、価値観、趣味嗜好など)
- 情報収集の手段(インターネット、TV、SNSなど)
- 自社に関連する要素(自社の認知度、購入頻度など)
び~社長の会社、B社の場合で考えてみましょう。
び~社長の会社、B社は緑豊かなX島で、X島特産の伝統あるハーブを栽培、加工、販売している会社です。安眠効果のあるハーブティーなど、ハーブを使った商品を扱っています。び~社長はこのハーブを大切に思っていて、ハーブを使って島の活性化を行いたいという思いがあり、事業を始めました。(という設定です)
例えば以下のように基本情報と固有情報を設定してみます。
固有情報はB社の安眠効果のあるハーブティーに関連する項目にしています。
ポイントは、漏れやダブりがないように設定することです。
志向の項目は重なることもあるので難しいですが、それ以外はできるだけ全部のお客さんがカバーできるように分けられるようにしましょう。
これ以外にも、固有情報では、リラックスの方法や疲労度、B社のハーブを知っているか、なども挙げられそうですね。
表にすると分かりやすいですね
ターゲティングのやり方
セグメンテーションができたら、自社が狙いたい顧客層を選定していきます。
必ずしも一つに絞らなくても大丈夫ですが、あまり広範囲にならないよう、思い切って絞っていきましょう。
範囲を広くとってしまうと、経営資源の分散につながります。経営資源(人、モノ、カネ、情報)が限られている中小企業にとってはターゲットを絞って1点集中することが競争優位に立つ基本戦略です。
戦略について詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ
ここでの選定のポイントは、セグメントの市場規模、成長性、収益性や競合との状況、それから自社の強みが生かせるかどうかです。
これらを踏まえて、例えば以下のようにターゲットを決めていきます。
※この表はサンプルです。実際には業種に合わせて項目を設定していきましょう。
ペルソナ
ターゲットが決まったら、そのターゲットの具体的な人物像を設定しましょう。これを「ペルソナ」といいます。
なぜペルソナを設定するのかというと、顧客の課題をイメージしやすくするためです。
確かに・・・
この表だけだとどんな人なのか見えてきませんね。
そうなんです。ですから、ペルソナには名前をつけて、1日の生活スケジュールや悩み事、どんなことに興味関心を持っているか、などを設定していきます。
- 未婚(結婚はしたい気もするがそれほど欲は無い。)
- 東京都大田区在住、賃貸 家賃10万円 1LDK 一人暮らし。実家は石川県。
- WEBマーケティングコンサル会社勤務、勤続10年目
- 年収600万、貯金500万
- ここ数年、疲れがとれにくいと感じている。
- 休日は家に籠ってDVDを見るか、たまにひとりで癒しを求め、自然を感じられる場所に旅に出る。
- パワースポットやスピリチュアルなものに惹かれる。
- 仕事は好きでそこそこできる。ただしコミュニケーションはあまり得意ではない。
- 仲の良い友人数人とはたまに会って食事をする。おすすめされたことは素直に聞く方。
- 愛想が悪いが、慢性的な疲れによる影響だと思っていて、もっと毎日元気にテンション高めで生活したい。
- 情報収集は主にWEB検索。SNSはインスタを見るのみ。
- 健康に気を使っている方で、ハーブティーはカフェインが入っていないのでよく飲む。
- B社のハーブティーは某スーパーで見かけて知っているが購入したことは無い。
というように、ターゲティングした項目に合うように設定していきますが、都合のよい想像にならないよう、実際に顧客リストがある場合は、それを参考にしたり、実際のいる人物をマネして設定しても良いですね。
意識したいのは、属性だけでなく、感情があるということです。
ペルソナがどういった感情でどんな課題を持っているかが大切なので、感情がある人物像として設定することを意識しましょう。
ペルソナは1人でなくても良いです。
ペルソナを設定したら、まず、この人はどんな悩みがあるかを考えてみます。本当に望んでいることは何かを言葉にしてみましょう。
そうして、本当に望んでいることが特定できたら、それに対して自社ができることを考えます。
中村かおりさん、、疲れていて癒しを求めている。健康に気を使っているけど、どうやったらこの疲れがとれるのかが分からないと思っていそうです。
大切なのは、本当に望んでいることや深層心理を理解することです。
それが分かったら、その悩みはペルソナ以外にも当てはまることはありますよね。ですから、ターゲットをペルソナに絞る必要はないんですね。
なるほど、何が自分に合った健康法なのかが分からない人はたくさんいそうですね。
ペルソナと同じ悩み、心理を持つ幅広い層をターゲットとしてサービスを展開すれば良い、ということです。
顧客心理をしっかり理解するために、具体的な人物(ペルソナ)を設定する、という使い方をおすすめします。
ポジショニングのやり方
ポジショニングは、競合と比較して自社の立ち位置を明確にすることにあります。これを表したのがポジショニングマップです。
まず、タテヨコに顧客が商品やサービスを選定する基準になると思われる指標を取ります。
ここで意識するのは、先ほど決めたターゲットが選定する基準になっているかということです。
例えば品質が良い、という軸に対して品質が悪い、というのが反対になりますが、品質が悪い商品を選びたいというお客さんはいませんよね。
ですから、品質が良い、の反対には品質はそこそこでも安さ重視、といった基準が入ります。
この選定する基準のことをKBFと言います。KBFとはKey Buying Factorの頭文字をとっています。
また横文字・・頭文字・・
横文字多いですね(笑)。
特に覚える必要はありませんが、マーケティングの説明でたまに出てくるので知っておくと便利です。
KBFとは簡単に言うと、お客さんが商品を選定する決め手のことです。
軸を設定する時の参考としては、お客さんの商品選定基準になっていることは大前提として以下の視点で考えてみると考えやすいです。
- 商品の仕様、機能(ティーバッグか粉末かなど)
- 顧客に与える価値(疲れが取れる、美肌効果があるなど)
- 用途や対象(食事と一緒に飲む、ティータイムに飲むなど)
- 競合商品が売れている理由(低価格、味のバリエーションが豊富など)
この中で自社の強みを発揮できそう、競合と重ならなそうなものを選定してみます。
それができたら自社のポジション、競合のポジションを置いてみます。
B社の場合で考えてみるとこのようになります。
自社はどこに置かれましたか?もし中央よりになってしまっていたら軸の取り方を変えて考えます。
目指すのは、カドです。競合がいない、カドに自社がくるように軸を取り直していくんですね。これがポジショニングの作業です。
B社の場合、検討①だと中心に寄ってしまっているので、②で軸を取り直しました。これならカドにポジションを取れそうですね。
軸を選定するポイントは顧客の求める選定基準はどれが強いだろうか、自社の強みが生かせるのはどこが強いだろうか、という点です。
自社の強みは3C分析から考えたバリュープロポジション(顧客ニーズがある自社独自の強み)のことです。
このようにして、自社商品や業界での立ち位置、狙いたい領域を明確にしていきます。
はい!では「大自然を感じ、癒しとリラックス時間を提供できるハーブティー」というバリュープロポジションを生かせる検討②の軸、希少価値の高い天然成分であり、リラックス効果領域でテッペン取ったろうと思います!
び~社長、だいぶ気合が入ったようで(笑)
まとめ
では、ここまでのまとめです。
- STP分析とは、ターゲットを絞り、自社のポジションを決めて自社のポジション、狙う領域を明確にすること
- セグメンテーションとは顧客を分類すること。
- セグメンテーションのポイントは基本情報と固有情報で分けて考え、漏れなくダブりなく、機械的に行うこと。
- ターゲッティングとは狙うべきターゲットを決めること。
- ターゲットはセグメントの市場規模、成長性、収益性や競合との状況、自社の強みが生かせるかを考慮して考えること。
- ターゲットが決まったら「ペルソナ」を決める。
- ペルソナを設定する意義は①顧客視点を徹底するためと、②そのターゲット像を社内で共有するためにイメージをしやすくするため。
- ポジショニングはターゲット顧客が商品やサービスを選定する基準をタテヨコにとり、自社と競合のポジションを見ること。
- ポジショニングでは競合と重ならない場所で、できるだけカドにポジションを取れるよう軸を検討する。
- 軸は、あくまで顧客が選定する基準であり、自社の強みが生かせるもの。
いかがでしたでしょうか。
STP分析でだいぶ自社の独自性が明確になってきたかと思います。
それでは、わが社のハーブティーは都会に住む40代の女性で疲れを感じている人をメインターゲットにして、希少な天然成分が含まれ、安眠とリラックス効果が高い商品ということで差別化を図ります!!
おお、だいぶ固まってきたようですね。
では次は具体的施策を考えていきますが、商品、価格、流通、販売促進、と4つに分けて考える4Pのお話をします。
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