こんにちは。中小企業診断士のマスミです。
今日は戦略についてです!
び~社長、び~社はどんな戦略がありますか?
え、戦略ですか?。。。。え~と、う~ん、、、あるような無いような。。。
無いってことでしょ・・・
いや、そんなはっきり言わなくても。。グスン
大丈夫です。いきな戦略は?と聞かれてもすぐに答えるのが難しかったりしますよね。
でもきっと社長の頭の中にはこうしていきたいな~という考えはあるはずです。
ではなぜ戦略が必要なのか?
その答えも合わせて、戦略について一緒に考えていきましょう!
- 戦略って具体的にどうやって考えていけばいいの?という経営者の方
- 今後どんな打ち手をとっていけばよいか悩んでいる経営者の方
- 戦略ってそんなに大事なの?と思っている経営者の方
- 戦略を考える流れや基礎知識を知りたいビジネスマン
経営戦略とは?戦術との違いとは
そもそも、経営戦略とはなんでしょう。
説明しよう
経営戦略とは現状から目指す姿に向けた方策、方法である。
会社経営においては、その頂点に経営理念があり、そこから目指す将来像・経営目標を定め、それを実現するための方策を考えていきます。それが経営戦略ということになりますね。
「経営理念って??」と思った方はこの記事を参照ください。経営理念はまず最初に決めるべきことです。
ということで、経営戦略とは経営理念、経営目標の達成を目的地とするならば、
目的地に向かうための地図みたいなものです。
旅の目的地が決まっていても、地図が無いとどの方向に進めばいいのかが分かりませんよね。
風の向きや太陽の方向から経験と勘でこっちの方だ!と分かる方もいると思いますが、そんな神業的な能力の習得には時間がかかりますし、本当にその方向が合っているかどうかも不安です。
そうか~、その勘を培うのに、失敗と成功を繰り返し、20年かかりました。。。
具体的には、目標を達成するために、どこをターゲットにどんな商品やサービスを開発して、どんな方法で販売すれば、他社より自社を選んでもらえるのかなどを考えることです。
そしてそのためには、今自分のいる位置を知る必要がありますよね。それが現状分析です。
経営戦略は、現状と目標の間を埋めるための方法なので、現状分析と目標設定がしっかりできていないと立てられないんですね。
経営戦略を立てるプロセスは以下の通りです。
経営戦略は会社全体の戦略があり、そこからマーケティングや財務、人事など個別の戦略を考えていくことになります。
「戦略」似た言葉で「戦術」というのがありますが、戦略を実行するにあたって行う具体的な施策が戦術です。
例えば商品を売るために、誰をターゲットにするのか、そのターゲットに何を訴求するのか、などが戦略にあたります。
そして具体的に商品を知ってもらうためにチラシを撒いたりイベントをしたり、というのが戦術です。
戦術よりも戦略の方が先にあり、戦略はより大きな範囲、長期的な道筋のこと、それを実行するためのより具体的な方法が戦術ということですね。
ちなみに「経営計画」という言葉もよく使われますが、「経営計画」は経営目標を達成させるために必要な計画のことです。1年単位の短期計画、3~5年の中期計画、それ以上の長期計画とあり、その期間に具体的にどんなことをするかという計画です。
細かい言葉の定義はあまり気にせず、ここでは、戦略って経営目標を実現するために考える大きな作戦のことなんだなと思っていただければ大丈夫です。
なぜ戦略が必要なのか
戦略は戦術よりも大切です。
それはなぜか。
ちょっと戦争の話をしてみます。
兵士ひとりひとりの戦力を向上させて一騎打ちで戦おうとしているA軍にどうやって勝とうかと考えます。
A軍以上に兵士を鍛えるとか、兵士の数を増やすとか、ですかね。
そんなことより、マシンガン買ってぶっぱなした方が早くない?
そうなんです。ちょっと言い方が物騒ですけど笑
一騎打ちを仕掛けてくるのが分かっていたら、同じ方法で戦う必要はありません。マシンガンを使って戦ったり、それ以前にA軍の武器庫や食糧庫を水攻めして壊滅させるという方法もあります。
これが戦略です。どうやって一騎打ちで勝つかという方法(戦術)よりもっと大上段から勝つ方法(戦略)を考えるということです。
ですから、戦術よりも戦略が大切なのです。
話を経営に戻しましょう。経営でも同じことが言えます。
先ほどお伝えしたように、ターゲット設定や訴求ポイントなどの戦略を間違うと、いくらチラシを撒いても全く響かず効果が得られない、といった結果になります。
そして多くの中小企業の場合、カネ、ヒト、モノ、情報などの「経営資源」が限られています。
戦略を立てるということは、これらの経営資源をどこにどれだけ配分するかを決めることでもあります。
ですから、これらの限られた資源を無駄にせず、最大限有効に活用して目標を達成するために戦略が必要なのです。
なるほど・・・戦略が無いと、経営資源を無駄に消費してしまうということが考えられるんですね。それは大変!
そうです。ですから、中小企業ほど戦略が大切なのです!
中小企業がめざすべき戦略とは
では、どんな戦略を立てていけば良いのでしょうか。
戦略を立てる前には自社の置かれた環境を分析すること、自社が持っている経営資源が何かを把握することが必要ですね。
それは別の記事で詳しく説明していますので、今回は先に大きな戦略の型を紹介します。
戦略の型を知ると、自社のとるべき戦略の方向性が分かるようになります。
ポーターの基本戦略
説明しよう。
アメリカの経済学者のマイケル・ポーターは、競合に勝つため、競争優位に立つための基本戦略として3つの戦略を挙げているぞ。
突然外国人の経済学者の名前が出てきましたが、難しくないので構えず聞いてください(笑)
「ポーターの基本戦略」として有名ですのでご紹介します。
ポーターの基本戦略では、競争で優位に立つ方法として、低コストと差別化の2つの方法と、それを広い市場に対して行うか市場を絞って狭い範囲にするかで分けています。
いずれにしても、目的は市場の競争に勝って売上を上げること、会社を長く存続させるということです。
コストリーダーシップ戦略
「コストリーダーシップ戦略」は、広い市場に対して、コストを下げて低価格で販売し、競争で優位に立つという戦略です。
外食産業だとマクドナルドなどが行っている方法です。
低価格を実現するには、例えば商品を大量生産することで生産コストを下げたり、大量に仕入れることで仕入れ単価を下げるということが必要ですね。
単に安売りをするということではなく、コストを下げることで利益を確保して低価格格を実現する戦略です。
差別化戦略
「差別化戦略」とは、対象は広い市場ですが、他社にない自社独自の価値をお客様に知ってもらい、競争で優位に立つ戦略です。
外食産業で言うと、モスバーガーのように、「安い価格ではなく素材や味で勝負する!」という戦略のことです。
お客様に高い価値を感じてもらえるような商品やサービスを提供して選んでもらうということです。
このように、価値を高めることを「付加価値を高める」、「高付加価値化する」といいます。
単に他社と自社の違いを訴求するということではなく、お客様にとって価値があると思ってもらえないとダメですね。
(コスト)集中戦略
市場やターゲットを絞った戦略を「集中戦略」と言いますが、その中でも狭い範囲の市場に対して低価格で競争優位に立つ戦略を「コスト集中戦略」と言います。
商品を絞ったり、ターゲットを絞ってコストを抑えて低価格を実現します。
例えば学生をターゲットに低価格の定食屋さんなどが当てはまります。
(差別化)集中戦略
もうひとつの集中戦略は「差別化集中戦略」です。こちらも、市場やターゲットを絞ります。
絞ったターゲットに対して他社がマネできないような商品やサービスを提供することで差別化して市場で優位に立つという戦略です。
外食産業でいうと、例えば静岡というエリアを絞って出店し、肉の質と炭火焼、丸いげんこつの形のハンバーグで味と見た目のインパクトで差別化を図った「さわやか」という炭火焼レストランなどが当てはまるでしょう。
コトラーの競争地位別戦略
戦略の型としてもう一つ有名なのが「コトラーの競争地位別戦略」です。
アメリカの経営学者で、現代マーケティングの第一人者であるフィリップ・コトラー氏が提案した類型です。
コトラーさんは1931年生まれで現役です。日本でも講演会などしていますよ。
「コトラーの競争地位別戦略」とは、自社が市場でどのポジションかによって取るべき戦略があるよ、という考え方です。
リーダー
リーダーは業界シェアトップの企業です。
経営資源の量も質も最大です。
そんなリーダーのとるべき戦略は以下の通りです。
- 需要拡大
- 同質化
- 価格競争に走らない
- 最適シェアを維持する
市場シェアトップですので、市場自体を拡大する方向性です。
「同質化」というのは、他の会社が差別化しようとして提供している商品やサービスのマネをすることで差別化を封じ込めるということです。
また、他の会社が低価格で対抗してきても、それには応じません。シェアが大きいので利益を削ることになるからです。またそれに応じる必要もないです。
基本的に最大シェアを維持するというのが基本スタンスです。
チャレンジャー
リーダーに次ぐ2番手企業をチャレンジャーと呼びます。
経営資源の量は豊富ですが、質はリーダーに及びません。
チャレンジャーの戦略は差別化です。リーダーにはできない差別化を図ることで、トップを狙います。
ニッチャー
ニッチャーとは、ニッチ市場をターゲットにして、その市場の中でトップの会社です。
経営資源の質(特別な技術など)は高いですが、量的に劣ります。
限られた経営資源を自社の得意分野に集中する戦略です。
特定分野の専門性を高めてその市場でミニリーダーを狙います。
フォロワー
経営資源の量も少なく、質でも劣るフォロワーはリーダーのマネをして追いかけます。
市場で存続することを当面の目標に、マネをしながらオリジナリティを生み出していきます。
中小企業のとるべき戦略とは
ここまで、戦略の型をみてきましたが、では中小企業がとるべき戦略はどれでしょうか。
ポーターさんの戦略もコトラーさんの戦略も経営資源が関係していますよね。
そうなんです。び~社長!するどい!
経営資源が限られているとポーターのコストリーダーシップ戦略は取りにくいですよね。
コトラーのリーダーの戦略も業界1位の戦略なので難しいですね。
キーワードは、「限られた経営資源を有効に、集中して使う」ということです。
そこで、ポーターの基本戦略では「差別化集中戦略」「コスト集中戦略」、コトラーの競争地位別戦略ではニッチャーの戦略が当てはまります。
これらに共通するのは、ターゲット市場を絞るということです。
自社に有利な市場(ターゲット)を選択し、集中して投下するという戦略が、経営資源が限られた中小企業が利益を上げて競合に勝っていくために必要な戦略です。
さまざまなケースがあり、全て当てはまらない場合もありますが、これが最も勝ちやすい戦略の基本なんだな、と覚えておいてくださいね。
まとめ
今日はここまでです。まとめをしましょう。
- 経営戦略とは、経営理念、経営目標を達成するための方策、地図のようなもの
- 戦術よりも戦略が大切
- 限られた経営資源を有効に使うために中小企業にとって経営戦略はとても重要
- 中小企業のとるべき戦略は、ターゲットを絞って経営資源を集中させる「差別化集中戦略」「コスト集中戦略」やニッチ市場でトップを狙う「ニッチャーの戦略」が基本
いかがでしたでしょうか。
経営戦略の基本について理解が深まりましたか?
はい!経営資源を大切に戦略を考えていかないといけないですね!
そうですね。戦略を立てる前には環境分析をして、自社の立ち位置を確認する必要がありますので、分析の方法についてはこちらの記事をどうぞ!