マスミどうもどうも、中小企業診断士のマスミです
今回のテーマは「経営改善計画策定支援」(通称405事業)についての3回目、前回の続きです。
第2回目の記事はこちら


どんな風にこの計画を作っているのか、専門家としての目線で書いているので、これから仕事をしてみたいと思っている中小企業診断士の方には参考になると思います。
また、支援を受けたいと思っている事業者さんにとっても、この計画を作る時に、専門家は何を考えていて何ができるのか、といったことが分かりますので、役に立つ内容かと思います。
- 経営改善計画策定の作成方法
- 経営改善計画策定支援まとめ方
ではさっそく、続き、いってみましょう!
資料のまとめ方のポイント
前回までのヒアリングで、過去10期を振返り、経営分析をして、内部環境、外部環境についても資料としてまとめられているかと思います。
そこで、それぞれの資料の作り方のポイントをお伝えします。
私が先輩方に指摘されて、改善してきた点なので、必ずこうしなければならない、というものではありませんが、こんなことを意識すると伝わりやすく、要点が伝わりやすいよ、というものなので参考にしてみてください。
- 会社の社長の名前で書いていることを意識する
- 見れば分かる数字の説明は不要
- だから何がいいたいのか、1ページごとに記載する
- サマリーやまとめ文章を入れる
それぞれ詳しく説明していきます。
①会社の社長の名前で書いていることを意識する
「経営改善計画書」は社長の名前で作成しています。
実際は、外部の専門家(認定支援機関)が作成しているのですが、あくまで、社長が、「こうやって改善していきます」というものを分かりやすく整理して資料にするのが私たちの役割です。
ですから、外部の専門家の調査報告書にならないように気を付けます。
具体的には、言い方、表現の仕方です。
「●●すべきである」「●●が必要である」「●●と思われる」などの言い方は、社長が話すにはあまりに他人事です。
ですから、「●●していく」「●●であった」「●●を行う」などの会社の実態や、今後の方向性を伝える表現の方が望ましいです。
「経営改善計画書」の策定支援ではなく、事業再生支援の「事業調査報告書」を作成する場合は、外部専門家の名前で報告書を作るので、最初の言い方で問題ありません。
ちなみに、再生支援の場合は、その報告を元に社長の名前で「経営改善計画書」を別途作成するので、その時は同じ資料を使うにしても、書き方を変えるようにしています。
私は最初に事業再生の支援をやっていたので、経営改善計画書の時にも同じように外部専門家の書き方をしてしまっていましたが、先輩に指摘されて気付いて直すようにしました。
②見れば分かる数字の説明は不要
「特に財務分析でやりがちですが、売上高は●●円から○○円となった。」のように、見れば分かる数字の説明だけにならないように気を付けましょう。
これを記載していけないわけではありませんが、大事なのは「なぜそうなったのか」です。
数字の背景や根拠はデータでは分からないので、それも合わせて記載するようにします。
金融機関の方がその資料を見た時に、「この部分はどういうことだろう?」「これは何故?」と思うようなポイントを予め書いておくと、疑問が残らず理解されやすいです。
とはいえ、私も以前、支援機関の方に注意されたことがあります。



見れば分かることは書かなくていい。それは専門家の仕事ではない。
なぜそうなったのかが大事なのだから、それを分析して書きなさい。



おっしゃる通りで、、
これは経営改善計画書ではなかったですが、こんなようなことを言われ、本当におっしゃる通りだなと思いました。
それ以来、意識して直すようにしました。
③だから何がいいたいのか、1ページごとに記載する
これは資料の作り方の違いもありますが、それぞれのページで、何が言いたいかを記載する文言があった方がいいということです。
要は、分析だけのページではなく、「分析+方向性、改善点」の文章を入れておく、ということです。
例えば、外注費の比率が毎年増加している、という事実があり、その原因は社内の効率が落ちているということであった場合、「今後は、社内業務の棚卸によって効率化を図り、外注費を抑えて粗利の改善を図る」というようなことも合わせて記載しておいた方が、よいということです。
方向性がない文章だと「外注費費率が毎年増加しているが、社内の作業効率が悪化していることが要因である。」という分析で終わってしまっています。若しくは、「外注費費率が上昇している」で終わってしまったり。
そうすると



だから何なの?
とつっこまれます。
私に。
いや、私だけでなく先輩たちにもです。
(私の所属する診断士協会では、計画書を作成したら、他の診断士2名が内容をチェックする仕組みがあります。)
まあ、こうしないとダメ、ということではありませんが、この、「だから何なの」の部分が無いと、何のためにこの資料を入れたのかが曖昧になってしまいます。
そして、最後に課題と改善策にまとめますが、そこにつながっていないページになってしまったりするので、この視点をもっていると良いかと思います。
もちろん、これも、私も最初は方向性のない文章を書いていて、先輩に指摘されて直しました。
④サマリーやまとめ文章を入れる
これも②や③と関連しています。
このページで言いたい事を1,2文でまとめて記載しておくと、読む人がさっと読みやすいです。
また、計画書を作成した後、金融機関を集めて説明をすることになりますが、(バンクミーティングやサポート会議です)その時に資料全部を読む時間はなく、要点を絞って説明します。
その時に、ページごとに言いたいことが数行にまとまっていると話しやすいです。
ですから、それぞれページごとに、このページ全体でいいたいことはこれ、ということをまとめて記載しておくことをおすすめします。
これも、先輩にそうした方がいいよ、と教えていただいて、やるようにしたら、やっぱり説明の時にすごくやりやすかったです。
ということで、資料作成で私が気を付けていることをお伝えしました。
お分かりの通り、私も最初はできていなくて、先輩たちに教えていただいて直していきました。
本当にありがたいことですね。
現状の問題点と具体的施策
では、前回の続きに戻ります。
これまでの分析結果から、現状の問題点と具体的施策をまとめます。
ページの順番としては内部環境、外部環境の後に入れて、その後売上計画、収支計画と続きますが、実際には収支計画まである程度固まってから作成しています。
数値計画を立ててみないと何をどれくらいやらないといけないかが分からないからです。
ということで、ページの順番でこの部分を説明しますが、イメージとしては、最後にまとめとして作るという感じです。
現状の問題点(窮境要因)
まず現状の問題点ですが、「なぜこのような状況(資金繰りが厳しくなった)」のかをまとめます。窮境要因(きゅうきょうよういん)と言う場合もあります。
外部環境と内部環境に分けて書くと書きやすいです。
それぞれのページで問題点や課題をまとめているので、それをいったん集合させて整理するイメージです。
その時に、気を付けたいポイントがあります。
「レイヤー(階層)」です。



診断士の二次試験でよく出てくるあの「レイヤー」?
そう、診断士の2次試験をご存じない方のために補足しますと、診断士の2次試験は記述式で、与件文に出てくる事例企業の課題にどう応えるかというような回答をします。
その「組織・人事」の事例でよく、回答のレイヤー(階層)を意識することが必要だ、と言われるのです。
ただ、私はかなりの感覚派なので、そんなものは全く気にせず自由に思ったままの回答をしていたわけですが、、(それでも60点くらいで受かりました)
そんなレイヤー気にしない派の私ですが、ここでは結構意識します。
というのも、この「現状と問題点」は、まとめの項目なので、『だから結局何がよくなかったの?』を俯瞰して記載するページなのです。
ただ、これまでヒアリングをずっと続けてきて、細かい点をあれこれ見てきて色々問題点がでてくると、それを書きたくなってしまいます。
「管理職のモチベーションが低い」とか「ホームページが更新されていない」とか細かいことが浮かぶでしょう。でもも、そういうことを書くのではない、ということです。
そこで私がやっているのが、



で、結局なんで資金繰りが悪くなったの?根本的な原因は何なの?
と、誰かに聞かれて答えることを想定して考えることです。
そうすると、「ホームページが更新されていなかったから」とは考えないですよね。
そもそもは、資金繰りを考えずに設備投資をし続けてしまったから、とか、収益管理をちゃんとやっていなくて、利益やCFをあまり意識できていなかったから、とか、会社の方針や管理面での課題が出てくるはずです。
ですので、まずそれを書くようにしています。
まとめ方は人それぞれですが、私の場合は、「経営・財務管理の課題」「組織・人事の課題」「営業面の課題」「商品・サービスの課題」などと分けて、その中でも根本的なものを記載しています。
大項目として「外部環境」「内部環境」、内部環境はその下に上記の区分、さらに「●●の不備」といった項目を状況に応じて加えて、レイヤーを分けています。
特にないものはもちろん書かなくても問題ないです。
具体的施策
問題点をまとめられたら、それに対応する具体策を記載していきます。
こちらも、大項目、中項目、具体策といった感じでレイヤーを分けます。
この時に、「ホームページを更新する」とか「管理職のモチベーションアップのために報奨金制度を作る」とか具体策を入れていけばいいと思います。
そして、これを「アクションプラン」としてそのまま使います。
とはいえ、きれいに階層が分けられない場合もあります。なるべく意識していますが、難しいですね。
売上計画
では、売上計画です。
これも、色々とやり方はあると思いますが、私が色々やってきて、こんなやり方がいいなと思っているものの紹介なので参考までに。
前回の記事でもお伝えしていましたが、事前にこの売上計画につながるようなセグメント別の売上分析をしているはずです。
それを元に「単価」×「個数」として売上計画を立てていきます。
この「単価」というのは、客単価であったり、1個あたりの商品単価であったり、1人当りの売上単価であったり、事業内容にによって使いやすいものを社長と考えます。
単価×個数で、シミュレーションをして売上計画を立てたいので、値上げしたらどうなるかをイメージできるものにするとよいです。
この切り分け方をしておくと、毎月何を目指して業務を行えばいいか、社員に伝えやすくなります。毎月その単価と個数を確認して、計画とズレがあればどうやって修正すればいいか考えられるからです。
仮に前年の5%アップ、というような売上計画になっていると、社長が社員に伝えた時に



売上を5%アップにしなさい



え?どうやって?もう精一杯やってますけど
こんな風にとなりがちです。
もう少し具体的に、単価と数量で指示すれば



客単価を500円上げて、客数は1ヵ月あたり3人増やすようにしなさい



単価500円か、、じゃあこれをお勧めするか。
1ヵ月3人なら紹介キャンペーンやればいけるかも。
となったりします。
こんなに違いがあるかどうかは分かりませんが、ただ、社員にはできるだけ具体的に指示を出して、その結果、売上、利益がどうなるかを一緒に共有した方が、意欲的に取り組めるのは間違いないですよね。
これは、計画書に書かなくても、実際に現場に指示する時にやればいいことですが、ここまで書いておいた方が、社長もイメージしやすいですし、資料を見ている金融機関さんもしっかりと考えて作った計画だということが伝わりやすいです。
ということで、単価×個数に切り分け、それを1期ごとに何をどうやって単価をあげるか、個数を増やすかを数字を入替ながらシミュレーションして、数値を決めていきます。
何をしていくかは、内部環境のヒアリングの時にある程度確認しておいて、それを反映していく、というイメージです。後から費用と合わせて収支計画をつくっていきますが、そこで利益が足りない場合は、また戻って施策を考えて売上計画も修正します。
ただ、これを元に返済計画を立てていくので、堅実にです。目標ではなく計画なので。
ですから、新しい取り組みや活動を入れる際は、3期目くらいの数字に反映させ、計画0期目から行動を開始し、結果として数字に表れるのは3期目くらいから、という流れにしておくと現実的かと思います。
ということで、ここでの売上目標は、いったん仮置き程度でOKです。かかる費用と合わせて収支計画を作った時にまた検討し直します。
私は、事業者さんと打合せをする際は、売上計画と収支計画は一緒にやって、調整をすることが多いですが、その場合、フォーマットの収益計画の売上のところに、このシミュ―レーション結果が反映されるようリンクをつけておき、売上高を決めると原価や販管費は仮で直近実績と同程度の数値を入れて、経常利益まで分かるようにしておきます。
費用についても、どの科目をどういう見込みにするかはこの後話し合います。
それについては、、次回お伝えします!



続きはまた後で!!
多分、次で完結すると思います!長くなってすみません!
おわりに
今回、文章の書き方について、私ができていなかった点をいろいろとお伝えしたので、お分かりかと思いますが、最初はうまくできないことばかりです。
何度も経験して、そのたびに改善して、を繰り返しています。
まだまだ学ぶことも多いですが、今はこれから勉強したい人に教えることも増えてきました。
でもそれは、こうした、先輩方の指摘をいただき、改善の積み重ねで、できることが増えていった結果です。
ですから、この仕事に興味がある方は、コツコツやればきっとできるようになりますので、ぜひチャレンジしていただければと思います。
ではまた!








