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経営改善計画策定支援(405事業)の現場で専門家は何をしているか④~中小企業診断士マスミの場合~

マスミ

どうもどうも、中小企業診断士のマスミです

今回のテーマは「経営改善計画策定支援」(通称405事業)についての4回目、前回の続きです。

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どんな風にこの計画を作っているのか、専門家としての目線で書いているので、これから仕事をしてみたいと思っている中小企業診断士の方には参考になると思います。

また、支援を受けたいと思っている事業者さんにとっても、この計画を作る時に、専門家は何を考えていて何ができるのか、といったことが分かりますので、役に立つ内容かと思います。

この記事で分かること
  • 経営改善計画策定の作成方法
  • 経営改善計画策定支援まとめ方

ではさっそく、続き、いってみましょう!

Contents

収益計画

売上計画まで作っているので、その続きですね。費用の部分を合わせて収益計画とします。

ここでは、変動費と固定費に分けて、科目ひとつずつ確認しながら打合せをします。

ただし、固定費については、財務分析のところである程度内容を確認しているので、すでに削減ができているようであれば、現状維持で作成することもあります。

販管費が多い場合は、科目ひとつずつ、これは削減できそうですか?と社長に確認していくのですが、社長も

び~社長

はて?それは何の費用だろうね?

とようになることも多いです。

そんな時は、総勘定元帳を用意しておき、検索をしてその場で何の費用かを確認して伝えます。そうすると

び~社長

いや、それはおかしい。そんなに使っているはずはないんだけど。。。

などと、社長が把握していなかった費用が出てきたりします。

よくある傾向として、営業面に強い社長は経理を社員に任せていることが多く、この方法で確認していくと、こんなところにコストがかかっていたのかと理解していただいて、結果的に削減につながることも多いです。

こんな風に、費用の見込みを立てていきますが、計画0期目は、すでに進行中なので、試算表(推移表)を元に、これまでの平均をとって、さらに社長からヒアリングした増減の見込みを加えて計画を作ります。

月次の推移表を元にしたやり方は、こちらの資金繰り表の作成方法で解説しています。計画書の最後に資金繰り表も作成するので、この流れで作ります。

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計画1期目以降は、0期の数字を元に予想できる増減を加えて見込みを立てます。ここで将来増えそうな費用は計画に入れておく必要がありますが、個別に検討した方がいいものは次の通りです。

人件費

最低賃金の上昇が見込まれるので、ある程度ベースアップを見込んだ方が良いです。利益に応じてではありますが、毎期1%アップとか、2期ごとにするとか、基準を作って入れます。

金額が大きいと思いますので、1%でもけっこうインパクトがありますね。

余裕があれば賞与を入れても良いと思います。

法定福利費は、前期の給与や役員報酬に対する比率を計算し、同じ比率で入れるようにしています。

また、労働集約型で人材=売上の関係が強い業種は、「採用計画」を別で作成して、従業員数と給与手当の見込み、いつ何人採用するかといった計画を立て、PLに反映させていくと良いです。

減価償却費

設備投資をするかによって変わります。特に必要がなければ、減価償却予定表を税理士さんからもらって、その金額を入れます。

製造業や運送業など、固定資産が多い業種は、資産の一覧を作成し、いつ購入してリースの支払いをどれくらいしているか、いつまで続くかを見えるようにします。

それを元に、「設備投資計画」を作成して、何期目にいくらかかるか、リース代がどれくらい増えるかの見込みを作ります。

そこから、減価償却予定表に新規の設備投資分を加えます。

租税公課

税抜会計の場合は、前期と同じくらいでみれば良いですが、税込会計の場合は、消費税が含まれているため、注意が必要です。

売上高に応じて租税公課が増えます。

消費税は、受け取った消費税から支払った消費税を引いた分ですが、正確に算出するのは難しいので、概算で入れます。

税込み会計の場合は、次の式で概算の消費税を計算して、租税公課に入れます。

概算消費税計算:(消費税の租税公課を入れる前の税込みの営業利益+非課税や不課税の支出)÷1.1×0.1

どういうことかというと、まず、税率を10%とすると、消費税は、受け取った売上に10%含まれていて、支払った費用にも10%含まれ、さらに営業利益にも10%含まれている状態と言えます。なので、営業利益の10%を計算すれば出ますよね。

ただし、実際には、非課税や不課税の人件費や保険料等があり、支払った費用の10%が消費税ではないです。

むしろ人件費が多い場合は、あまり消費税を払っていないこともあります。

そこで、非課税・不課税の支出は入れず、課税されている売上高と費用だけの営業利益を出します。これが、営業利益に非課税・不課税支出を足すというステップです。

この営業利益には10%消費税が含まれています。それを1.1で割り戻して、課税対象の金額に戻し、税率の0.1を掛けているということです。

マスミ

ややこしいので、式で単純に覚えた方が早いです。
時間ある人は、簡単な数字を入れてやってみると分かると思います。

支払利息

利息については、借入残高によって変わりますので、返済計画に連動させます。

利率が上がることが分かっている場合は、それを反映しますが、現状維持できるのであれば、直近の支払利息の借入残高の比率(加重平均金利)を出し、0期目以降もその比率で入れます。

期末借入残高×加重平均金利、もしくは、(前期の借入残高+当期の借入残高)/2×加重平均金利とすることもあります。

保証料

経営改善計画策定支援では、リスケジュールや借換の金融支援が必要となります。その際には保証付きの融資残高がある場合、新たに保証料がかかってきます。

借入残高が大きいとその分保証料も大きくなるため、できれば簡単に計算して費用としていれた方が良いです。

借換時

※令和8年7月時点で、経営改善計画策定支援事業(405事業)は借換では使えなくなっています。借換の時の考え方の説明のために解説しておきます。

借換時は、新しく借入をすることになるので、借入額に対して保証料がかかります。ただし、保証協会の「経営改善サポート保証」制度を使うことで、保証料率を0.4%程度と抑えることができます。(保証料率は令和8年7月時の数値)

この金額を借換の時に一括で支払います。ただし、借換なので、今まで借りていたものを返して一本化するという流れになっていると思いますが、返す際には、借りた時に払った保証料の返戻があります。

ですので、支払う保証料と返ってくる保証料はある程度相殺されるのですが、ここはタイミングが別で、払う方が先です。

ですので、資金繰りに注意が必要です。いくら返ってくるかは、計算が難しいので、保証協会に問合せすれば教えてくれます。

支払った保証料は、「長期前払費用」として資産計上し、PLでは借入期間で均等償却していきます。営業外支出として入れておくと良いとと思います。

リスケ時

返済を一定期間止めたり、返済額を減らす条件変更(リスケ)をする場合は、別の計算が必要です。

返済を止める場合は、借入期間が延びることになるので、その分追加で保証料が必要となります。

1年止める場合は、保証付きの残高×保証料率×365/365 という計算です。半年であれば、分母の365を半年の日数に変えれば良いことになります。保証料率は、借入時に決まっていますが、不明の場合は、平均的な1%程度でみておけば良いかと思います。

返済をしていく場合は、上記の計算式に「分割係数」をかけます。25回以上の場合は、0.55です。
例)借入残高50,000千円で、保証料率1%とした場合、50,000千円×1%×0.55=275千円。これが1年間の保証料です。


ということで、これらを入れて5年間の収益計画を立てます。この段階では、大まかに利益がどれくらいになるか確認するという程度です。

ただし、経常利益は計画3期目には黒字化するというのが目安です。

キャッシュフロー計画・返済計画

経常利益を元に、減価償却費を足して、法人税を引き、設備投資などのキャッシュアウトを考慮して、キャッシュフローを計算します。

BSを作る場合は、実際のCF計算書を資料に入れますが、PLだけで良い計画の場合は、簡易CFで試算します。

簡易CF(経常利益+上記の内容)

それを元に、借換の計画や、リスケ計画を作成します。

借換かリスケか

借換で、保証協会の経営改善サポート保証を使う場合、15年の長期での借換が可能なので、毎月の返済額を減らすことができます。

借換なので、「リスケ」とは違って、借入ができない状態ではないので、現在の借入残高を15年で割って、無理なく返せる程度のCFがあれば、借換がよいかと思います。

そのCFの捻出が厳しいようであれば、CFに合わせた返済額にするリスケジュールの依頼にします。

計画は5期まで作成しますが、5期目には、CFの70~80%程度は返済に充てられるような計画にします。

その際、現預金残高が、マイナスにならないよう気を付けます。

数値基準

また、債務償還年数という指標があります。

借入金残高÷(経常利益+減価償却費ー法人税等)という式が一般的ですが、営業利益を基準にしたり、借入金残高から運転資金分を引いた金額にしたり、多少違うこともあります。

これが、10年~15年以内にはなっているようにしたいです。

有利子負債CF倍率という指標を使うこともありますが、似た基準で、借入残高がCFの何倍か、というもの。こちらも10~15倍以内を目指します。

また、実質純資産の計算も行っていたかと思いますが、こちらも5年以内に債務超過解消、というのがひとつの基準としてあります。

事業再生計画の場合は、厳密な基準が求められていましたが、経営改善計画書の場合は、これまでは、そこまで厳格ではなく目安程度となてっていました。

ただし、制度改正で、令和8年5月から、経営改善計画策定支援でも、数値基準が明確化されています。

  • 概ね3年以内の経常黒字化
  • 実質債務超過解消5年以内
  • 有利子負債CF倍率が概ね10倍以内
マスミ

要件が厳しくなりましたね

こんな基準がありますので、無理なく、ここに合わせられるよう、収益計画を見直しながら返済計画を立てていきます。

アクションプラン

では、最後にアクションプランの作成です。

資料の順番的には最後に入ることが多いですが、収益計画を立てる前に何をどう改善していくかの施策は立てていますので、それを一覧表にして、数値基準を決めていきます。

この後、3年間、モニタリングが半年に1回ありますが、その時に指標の確認を行います。

ですから、実施事項と連動した指標を設定する必要があります。

ここまでできたら、最後に資金繰り表をつけて、ドラフト(たたき台)の完成です。

さいごに

この後の流れですが、社長に内容を確認いただいた後は、メインバンクに確認してもらい、保証協会や他の金融機関に確認してもらい、修正依頼等に対応します。

ちなみに、私の所属する協会では、協会内の内部チェックがあり、他の診断士にいろいろと指摘いただき、しっかり内容を確認して、修正してから金融機関へ提出です。

すべてクリアすると、確定版として完成し、これを元にバンクミーティングを開催します。保証協会が主催の場合は、「サポート会議」という名前になります。

金融機関に集まってもらい、計画の内容に同意をしてもらうための説明会です。

ここでは、私が計画の概要を30分程度でお話して、その後質疑応答、同意書は後日郵送いただく、という流れです。

ここから2週間以内に同意書が送られてきますので、支払申請書を作成して、諸々書類を揃えて活性化協議会へ提出すると、計画策定費用の国の補助分が振込されます。

ちなみに事業者さんからは、ご支援の最初に1/3の金額をいただいていますので、残り2/3がこの時の分です。

初回面談から、バンクミーティング開催まで、半年程度かかります。

ということで、ブログも長くなりましたが、実際の支援も長期戦ですね。

手続きの大変さはありますが、じっくり事業者さんとお話して、データ分析をして、改善点を見つけ、将来が見えるようになるというプロセスはとても楽しいです。

事業者さんからも、金融機関さんからも喜んでいただけるので、とてもやりがいのある仕事だと思っています。

興味を持った方はぜひチャレンジしてみてください。

今回の記事が少しでもお役に立てていたら幸いです。

マスミ

ではまた!

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この記事を書いた人

マスミのアバター マスミ 中小企業診断士

メーカーにて営業職を10年経験した後、2023年5月に中小企業診断士として独立。
経営戦略やマーケティングに関する記事のほか、営業としての考え方、コミュニケーションのコツなど営業に役立つノウハウも分かりやすくゆる~く書いています。

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