マスミどうもどうも、中小企業診断士のマスミです
今回のテーマは「経営改善計画策定支援」(通称405事業)についての2回目、前回の続きです。
第1回目の記事はこちら


どんな風にこの計画を作っているのか、専門家としての目線で書いているので、これから仕事をしてみたいと思っている中小企業診断士の方には参考になると思います。
また、支援を受けたいと思っている事業者さんにとっても、この計画を作る時に、専門家は何を考えていて何ができるのか、といったことが分かりますので、役に立つ内容かと思います。
- 経営改善計画策定時のヒアリング方法
- 経営改善計画策定支援の事業DDの方法
- 経営改善計画策定時の流れ
ではさっそく、続き、いってみましょう!
4回目~6回目
4回目以降は、だいたい次のような流れでヒアリングを行いながら資料をまとめていきます。
パワーポイントフォーマット
- 業務フロー図作成
- ビジネスモデル俯瞰図の数値入力
- 顧客別売上高
- 内部環境ヒアリングまとめ
- 外部環境まとめ
- 実質純資産
①業務フロー図
業務フロー図は、必ず作っていたわけではないのですが、最近はやはり流れがあった方が分かりやすいなと思って入れるようにしています。
計画全体を通してですが、何を基準に作っているかというと、この計画書は、事業者さんの改善の計画であると共に、金融機関が支援を行うために納得できる資料にしないといけないので、この業界を知らない方が見ても理解できるように、ということを考えています。
支店の担当者は日ごろから事業者さんとやりとりしているので分かっていても、決裁権があるのは別の方なので、何も知らない人が見て、理解して、大丈夫だ、協力しよう、と思ってもらえるようにしないといけないです。
そんな視点で考えると、何を確認して計画書に書いた方がいいのかが分かると思います。
ここでは、図を使って、誰からどんな手段で依頼がきて、どの部署がどう動いて商品やサービスを提供しているか、を図形や矢印を使って図にしています。
その中でボトルネックになっている部署や問題となっている点が無いかも確認していきます。順番に流れを見て行くと、課題が見つけやすいです。
②ビジネスモデル俯瞰図の数値入力
ビジネスモデル俯瞰図は、初回、2回目訪問あたりに大まかにヒアリングをしていますが、総勘定元帳をいただいた後で、数値を入れていきます。
- 仕入先ごとの仕入高と比率(上位5社程度)
- 外注先ごとの外注費と比率(上位5社程度)
- 顧客ごとの売上高と比率(上位5社程度)
これらは、総勘定元帳をExcelにしてピボットテーブルを作成して数字を確認します。
念のため決算書と合っているかも確認します。
ここでは、顧客や取引先への依存度を確認して、偏りが大きければ分散してリスク回避する方向性が考えられます。
③顧客別売上高
同じように顧客別の売上高も総勘定元帳を3期分いただいて、上位20社まで+その他として表にします。
ここで掲載しているのは、売上高、売上高比率、累計(上位〇位で〇%を占めていることが分かるように)前期比です。
3年でどう増えたり減ったりしたのか、主要顧客についてはその理由を確認して、環境変化やその対応、今後の方向性についてヒアリングをしています。
④内部環境ヒアリングまとめ
内部環境については、業種によってや、社長の問題意識の多さなど、状況に応じてフォーマットを変えていますが、ある程度切り口を分けて記載しています。
この項目ごとにヒアリングをしたり、また、これまでの話で出てきたことをここの枠に落とし込んでいくこともします。
- ビジネスモデル・事業特性
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そもそもこのビジネスはどういう収益構造で、何が収益改善のポイントなのかなどを書いています。労働集約型だったり、設備投資が必要だったり、マーケティング力が重要になっていたり、など。
- 経営管理・財務管理
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経営管理と財務管理は厳密には別のものではありますが、中小企業だとどちらも社長の考え方や管理体制が表れているので、私はまとめて記載しています。
- 組織・人事
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採用方針、離職率、待遇などについてです。だいたいどこも人手不足で採用が難しいという話になりますが、それに対してどういう方法で採用を行っているかをお聞きして、無理なくできる方法をご提案することが多いです。
- 営業・マーケティング
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顧客獲得方法や、既存顧客への対応などを確認しています。業種によってここのボリュームにかなり差があるので、新規獲得がメインのBtoCだと、細かくヒアリングをしたり、別途必要なデータを元に分析をしたりしています。
また、見積り方法はどうやっているのか、それは適正価格なのかは毎回確認しています。価格設定に問題があることも多いので、設定価格の妥当性を検証するようにしています。
適正価格をお伝えしたところで、市場価格と乖離しすぎていて合わせられないことも多いです。
ですので、ここでは、まず、今の固定費だとこれくらいの価格にしないと採算とれない、ということを知っていただけばいいと思って示すようにしています。
- 商品・サービス・原価管理・業務管理など
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そもそもの商品やサービスの特徴や問題点、現場の業務の課題などをまとめます。業種によってかなり差があるので、その時々で名前は変えています。
これらの切り口で、確認することは、①特徴や強み、②問題点、③②に対する方向性、改善方法です。
③については、課題が出てきた時点で、どんな方向で改善できそうですか、とお聞きして考えてもらったりします。ちょっと時間はかかりますが、後からアクションプランを考えるので、この場で聞いておくと話がスムーズにできます。
こういう方法はどうでしょう、と私からご提案することもあります。
それで、社長が、「なるほど、それはいいかも」となると、そこから話が広がって、戻ってこられなくなることもありますが、、笑
それはそれで施策が具体的になって計画の精度が高まるので、いいことにしています。
見積り方法や価格設定について確認すると、粗利はとれているけれど固定費分が賄える価格設定になっていないという場合がよくあります。
そんな時は、「損益分岐点売上高」の説明をして、それを元に価格を検討する話をしています。
実際にどんな会話をしているかはこちらの記事をご覧ください。
全部吹き出しで書いてあるのでそのまま使えます。


⑤外部環境のまとめ
外部環境については様々あると思いますが、ヒアリングの中で社長の口から出てきたことを入れるようにしています。
例えば、仕入の価格が~という話があれば、その材料の価格推移など。
事前に業界動向を調べておくこともいいとは思いますが、私はどんな要素に影響を受けますかとお聞きしてから作成しています。
あとは、切り口として頭の中にイメージを持っておきたいのは、5フォース分析です。
この分析をしろというのではなく、切り口として入れると抜け漏れなく資料が作れるということです。(5フォースを忘れた方は上記リンクから記事に飛べます)
ただ、あまり枚数は作成していないです。405事業だと1,2枚です。
よく言われますが、私も中小企業の場合、外部環境の影響より内部環境の問題点の影響が大きいと思うので。
おまけ|ヒアリングチェックシート
参考に、こんなことを確認するといいよ、というヒアリングシートを作成したので、こちらに置いておきます。
実は半年くらい前に作って満足して、実際にはほとんど使っていないですが笑
一度使ってみたんですが、意外とこの通り聞けないんですよ。色々広がったり、これはいいやとなったり。
まあいつもやってることなので、だいたい頭に入っているというのもあります。何を聞いたらいいだろうと思う場合は参考にしてみてください。
ただし、大事なのは事業者さんの状況に合わせて、強みや課題の深掘りをしていくことのなので、一問一答にならないように気を付けましょう。
例えば、



製品面で他社との違いって何かありますか?



そうですね、うちは品質にこだわっているんです。
他社より壊れにくいです。
などと回答をいただいたら、



そうですか。他社より壊れにくいのが特徴ですね。
で終わりにしてしまったら一問一答です。
そうではなく、



そうなんですね。なぜ壊れにくいんですか?



製造工程がちょっと違うんですよ。
他社がやらない工程があるんです。それをやってまして。



それは素晴らしいですね。御社はなぜそれができるんですか?他社がマネするのは難しいんでしょうか?



そうなんです。それはですね、、、
という風に、なぜなぜを繰り返して、強みや根本原因を探ることを意識すると良いと思います。
その他の事業DD(デューデリジェンス)資料
会社の事業内容の整理やデータ分析のことをデューデリジェンス(DD)と言いますが、「経営改善計画書」は前半部分で事業DDを行い、それを元に、収益計画や具体的な改善内容であるアクションプランを検討していきます。
そのため、これまでのヒアリングでここはもっと深掘りした方がいいと思う点があれば、ページを追加しています。
例えば、運送業の場合は、車両別の原価計算をしたり、建設業であれば、工事規模別の粗利率を計算したり、サービス業であれば、ひとりあたりの売上高をサービス内容ごとに計算したり、など。
何を深掘りするかは、私の場合は、「売上計画につながるもの」や「指標として管理しやすいもの」という基準でやっています。
この事業DDの後に売上計画を立てていきますが、単に前年比〇%のような立て方はしません。それだとどう行動したらいいかが分からないからです。
売上高は、単価×個数に分解しますが、何の単価と何の個数にするかは、事業ごと、会社ごとに扱いやすい数字が違うので、それを社長と話しながら決めます。
そのために、じゃあ「今の数字はどうなっているのか」をデータとして示すことを事業DDでやるわけです。
例えば、リフォーム店では、顧客ごとの単価や粗利率は管理できていたのですが、1件のお客様が色々な箇所のリフォームを頼むことがあるので、場所ごとの件数や利益率を把握していなかったんですね。
でも、収益改善のためには利益率が高い商材を販売する方がいいので、この機会に調べてもらって、データにしました。
その結果、どの商材がどれくらい利益が出ているか分かりました。
それを元に、商材の平均単価×販売数で売上計画を立てました。
その際、平均粗利も分かっているので、商品の販売構成を変えると利益がどれくらい変わるかもシミュレーションして、どの商材を何個販売すればいいのか目標を立てることができました。
こんな風に、現場の担当者が指標にできるような個数にすると、社員みんなで目標を共有できて計画を実行しやすくなります。
ということで、私の場合は、事業DDのデータ分析は、売上や利益の目標を立てることを考えて資料にしています。
あとは、この指標てどうなっているんだろう、、と社長が気になっているものを調べて見える化することもあります。
それから、調べたけれど、大して意味がなかったものは入れないようにしています。
大事なのは、今の問題は、何が原因で、それをどう改善すればいいのかというストーリーなので、余計なものが入ると分かりにくくなるからです。
ということで、この部分は人によって作り方は違うと思いますが、私はこんな風に作っています。
実質純資産
実質純資産とは、BSの純資産を実態に合わせたものです。
中小企業のBSは、過去の未回収の債権や、資産価値の変わってしまった固定資産などがかなりあって、純資産額が実態と合っていないことが多いです。
金融機関は、お金を貸す時のリスク状況に応じて、会社を格付けしていますが、この純資産(自己資本)の金額がその格付けに影響を与えます。
そのため、実態に合わせた金額を確認するために作成します。
具体的には、以下の項目を実質金額に合わせてプラスマイナスしていくわけですが、今回の405事業では、あくまで簡易的という位置づけです。
実際は、金融機関も自分たちである程度実態純資産を計算していることが多いです。
参考に修正項目とその修正方法を記載しますが、基準としているのは、中小企業活性化協議会実施基本要領にある、『実態貸借対照表作成に当たっての評価基準』です。(p,28~)
また、中小企業特性については『金融検査マニュアル別冊(中小企業融資編)』も参考にしています。
※金融検査マニュアルについては、廃止されていますが、実務上では基準として参考にされていることが多いです。
中小企業特性とは、簡単に言うと、役員の資産と会社の資産を一緒に考えるということです。
中小企業では、社長が会社の連帯保証人になっていたり、個人の資産と会社の資産が繋がっていることがよくあります。
そのため、銀行が会社を評価する際も、法人の決算書だけで判断するのではなく、役員個人が持っているプラスの資産(現預金や不動産など)も一体としてカウント(加算)して評価してよい、というルールになっています。
- 現金
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預金は残高証明をとっているのでズレはないですが、現金が合っていないことがあるので、確認して少なければマイナスします。
- 売掛金
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過去の取引で、回収できないものがあればマイナスします。
- 未収入金等
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こちらも回収できるかどうか確認して、できなければマイナスします
- 在庫
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販売できない在庫があればマイナスします
- 貸付金
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貸した先が、もう存在していない会社だったり、連絡がつかない方だったりすることがあるので、確認して、マイナスします。
- 繰延資産
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基本的には0円とします。
- 仮払金
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本来費用となるものは0円とします。
- 有形固定資産
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固定資産台帳を元に、減価償却不足がないか確認をして、不足があればマイナスします。
- 不動産(固定資産)
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土地、建物を所有している場合は、現状の評価額に合わせます。現状の評価額は、固定資産評価額(固定資産税の納付書に記載)を参考にしたり、路線価を元に算出したりします。
- その他の資産
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ゴルフ会員権やリゾート施設の会員権などは、現在売却した場合の価格を調べて合わせます。
- 電話加入権など
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電話加入権などの〇〇権のようなものは、値段がつかないので原則0円とします。
- 保険積立金
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現在解約した場合の返戻金の金額を確認して合わせます。
- 役員の所有資産
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中小企業特性を加味し、役員の所有する不動産などの資産があれば、現在の評価額分をプラスします。
ただし、住宅ローンなどで未払分がある場合は、その分をマイナスしますが、ローンの方が大きいこともあり、この場合は所有する不動産の金額はプラスしません。(ローン分のマイナスもしないです)
- 事業用資産の含み損を戻す
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最後に、所有する不動産の価値が下がっていて、減額した場合ですが、その土地が事業用の場合は、また戻します。
というのは、会社の経営を続けることが前提で、すぐ売らないからです。(これをゴーイングコンサーンといいます:GC)
事業用ではない不動産のマイナス分(含み損という)はそのままです。
だったら、引かなければいいじゃないかと思うかもしれませんが、金融機関などの関係者で、会社の実態評価を共有することが必要であり、その上で事業用資産は例外として戻していいよ、というルールなのでやりましょう。
現状の問題点と具体的施策
ここまでまとめたら、6割くらい完成です。
これまでのヒアリングで作成した資料を見返して、まとめていきます。。。が
長くなったので



続きはまた後で!!
どんな風にまとめる良いかコツがあるので次回お伝えします!ではまた!







